第1章 :錬金術のトリセツ

Mana K が 2023年07月04日 に投稿
2024年12月24日 に更新
歴史を通じて誤解されてきた錬金術。その正体を明らかにするとともに、新たに錬金術の研究を始める際に役立つ情報を記録。

魔術や錬金術の成功要因

そもそも、魔術とは何だろう。錬金術とはいったい何だろう。

多くの人々が想像し、夢想し、たくさんの解釈をベッタベタにつけてきた。魔術や錬金術に関する文献は山のようにある。それを全部研究することが本当に必要なのか、実は非常に怪しいところだ。

現代の魔術師や錬金術師であれば、検索エンジンやAIによる要約なども、もちろんある程度は使える。だからといって、検索でヒットする文献や要約された情報は必ずしも正しいとは限らない。

ヘルメス主義者が書いたある文献には、こう書かれていた。錬金術書には偽の情報が混じっており、間違った解釈で書かれた文献もそれなりにあると。よって、すべてを研究する必要はなく、良質な情報を発見することが重要なのだそうだ。

冒険者ギルドに似た組織構造を持つ、ある隠れ魔術団体にいわせると、自分にあった良質なモデルをいくつか見つけたら、それを実行すれば良いらしい。モデルとは雛形や模型であるから、良い型を見つけたらそれを実装・増幅すれば良いということになる。

まさしく今のネットや書籍と同じだ。もっというと、コーチやコンサル選びとも似ている。ここがある意味、私たちの魔術や錬金術が成功するかどうかの分水嶺なのだと思う。

知識だけやたらと詰め込んで、正しい情報も間違った情報もひたすら取り込むことに意味はない。さらにいうと、知識を実践しないのであれば、その知識はほとんど無意味。もっというと、良質な情報を発見できるよう自分を開発していなければ、そこには絶望しかない。

ヨガも同様である。やたらとクンダリーニ覚醒の情報を集めまくって、ソーシャルメディアで発信することを考えてみる。それ自体は特に問題はないのだが、実践しなければ無意味だ。実際にエネルギーの上昇や松果体への強烈な刺激を経験していないのであれば、説得力に欠ける。

よーし!クンダリーニ覚醒して、グルになって、スピリチュアルなビジネスで有名になって稼ぐぞ!なんていって、ちょっとだけストレッチして、スッハースッハー鼻呼吸して、フッハーフッハー火の呼吸やってみて、腰を振ってよし覚醒!なんてことにはならないのだ。


スモールスタート戦略

長い長い錬金術の旅をはじめるにあたり、私にとって幸運だったことがひとつだけあった。

それは、エメラルド・タブレットの文章だけを黙想しながら世界を観察しはじめたことだった。実際に、日本を含め7ヶ国を回りながら研究してみた。たった数行しかない情報。それを毎日毎日ひたすら考えながら、自然界を観察し、何度も何度も試しつづけた。

もちろん、自然界には人間界も含まれる。

よって、コンサルティングの現場でマーケティング分析をしているときも、KGIやKPIを設計して提案書をつくっているときも、クライアントにプレゼンしているときも、「プリマ・マテリア!スピリチュアルな乳化現象!」とかいって、コーヒーとMCTオイルをミキサーにかけるその瞬間でさえ、エメラルド・タブレットのことを忘れたことはなかった。

正直に打ち明けると、戦略的にスモールスタートしたわけではなく、ただ何を調べればいいかわからなかったというのが隠された真実である。とりあえずエメラルド・タブレットだけ覚えておけばオッケー!みたいな安易でチープな動機から駆動されたアプローチであった。

とはいえ、その安易・軽率・チープな選択によって、余計な情報に振り回されず、実践重視で進められたこともまた事実だ。これに関しては、古代から連綿とつながっている錬金術師の太い遺伝ネットワークと秘密のガイダンスに感謝したい。

そして、このスモールスタート戦略を、これから魔術や錬金術をはじめる人にも勧めたい。


錬金術は農業に似ている?

古い文献を読んだり挿絵を見たりすると、錬金術はまるで農業のように描写されていることに氣づかれると思う。そう、錬金術は天界の農業なのだ。まさしく異世界農業なのである!

土壌を耕し、環境を整え、適切なタイミングで種をまく。同じく最適なタイミングを見計らいながら、黙々と作物を育て、収穫を待つのである。それを天界、つまり見えない世界でひたすら実行する必要がある。

クローゼットの中で大麻を水耕栽培する、非合法な大麻農家に似ている。

本職の農家が転職したら、強力な魔術師や錬金術師になるに違いない。昔は産土信仰や地霊との相互作用を重視しながら農業を営んでいたはずなので、遺伝的素質はバッチリである。

基本的には、魔術も錬金術も同じように、一年という周期でエネルギーを見る。月の周期を大切にし、サーバープログラムのスケジュール実行のようにタイミングを見計らっている。

私も今、新月に定めた目標と計画をもとに、満月に向かって術式を発動させている。ビジネスでいうミッションやビジョン並みに大きな魔術を起動しながら、段階的に戦略レベル、戦術レベルの魔術を複数稼働させている。戦術レベルの術式には、毎日のルーティンや朝の儀式も含まれる。

今日は満月だ。満月は、錬金術で表される夏至に似ている。ここから収穫がはじまるかどうかで、実践がどの程度成功したのかわかる。戦術レベルの小さな魔術は、比較的サクッと収穫がはじまるが、戦略レベルとなると難易度がグッと上がる。

つまり、何でもかんでも思いつくままドカドカブッ込めばオッケーではないのだ。

ここで、システム思考とデザイン思考を組み合わせる訓練がとても役立つ。集中力と観察眼が求められるので、複数の基準と思考様式の統合が最も強力なレバレッジとなる。

ところが、適性診断で「運用に向かない、完了するのが苦手」とされる私ですらビックリするのが、現代人の集中力の欠如だ。

いつ何時でもスマホにしがみついている様子を見ていると、異様な集中力を発揮しているかのように見えるのだが、実はぜんぜん違う。常に薄い情報を飛び回り、即効性のある快楽とインスタントな答えを求め、細切れの断片迷宮を日々さまよっているのだ。

そのような状態では、魔術や錬金術の成功率は極めて低くなる。むしろ、原始概念を操作する他人の術式にハマっている結果といえるし、無自覚にガンガン魔術的な攻撃(つまり呪い)を受けているに等しい。まさしく、マインドコントロールとは魔術の一種なのである。


その術式、広範囲に効きます

魔術や錬金術の成功率を上げる素質や要素は、ビジネスや実生活と何ら変わらない。

短い間の深い集中が不可欠だということ。そして、長期間の継続が求められるということ。さらに、広い範囲の深い情報を求めなければならないということ。そして、これが参入障壁を爆上げする原因なのだが、誰も答えを教えてくれないということなのだ。

それらをすべてひっくるめて考えると、魔術と錬金術に必要なのは、後天的な素質と類推・類比だとわかってくる。ビジネス戦略の立案、戦術の展開、作戦術の工夫にも役立つ。

天界の農業は、全体像、順番、作業内容がとても重要だ。それはビジネスも同じで、ミッションやビジョンを含む全体像があり、それを戦略的に非線形プロセスに翻訳し、そのプロセスを反映した戦術をタスクとして実行する。さらに、それを固定された計画ではなく、時代・状況・環境の変化に応じてアジャイル(俊敏)に微調整できる柔軟性も求められる。

現代風に翻訳すると、システム分析やデータベース設計、ドメインモデリングや最適なコンテキストの分割をやってきたIT技術者が、デザイン思考でプロトタイピングしつつ、コンサルタントのように戦略立案できると、魔術や錬金術は実践しやすい。

もっとわかりやすくすると、技術者が自分で課題を見つけ、アプリの設計をし、自分でコーディングして、まずは自分で使いこなすのと同じだ。その後、市場に展開され、みんなが集合的に使うようになる。それと魔術や錬金術は相似である。

なぜなら、システム開発と同じ要領で、見えるモノゴトを「概念装置」として利用しながら、見えない世界のシステムを組み上げ、実行していくアートが魔術や錬金術だからだ。

つまり、魔術や錬金術の道に入り、実践を進めていくと、他の分野にバッチリ効いてくる。経営者であれば新規事業に役立つし、健康的な生活をしたければ、段階的に確実に良くなっていく。この良くなっていく過程に高額な投資はまったく必要ないのだ。

考えてみれば解るのだが、エーテル体がすべてに存在するように、見えない世界のシステムは見える世界のソフトウェアとしてデプロイ(展開・設置)できるようになっている。この世界ではハードにソフトを搭載する要領で開発されるが、本当は逆なのである。正確には、ソフトからハードを生成・操作するのが真の宇宙仕様なのだ。

このメカニズムを知っているのと知らないのとでは、実践に大きな違いがある。


魔術と錬金術の正体

最初の疑問に戻ろう。魔術とは何だろう。錬金術とはいったい何だろう。

これをヒトコトでいうのは難しい?いや、決してそんなことはない。魔術とは見えない世界の科学であり、錬金術とは意識と情報・活力(エネルギー)のテクノロジーなのだ。

ゆえに、ビジネスや生活などの幅広い分野に同時に効いてくる。そして、類推・類比が有効なのは、意識や心というのは相似形だからだ。それは「振動相似・構造共振」である。いいかえると、フラクタル・トポロジーであるため遠隔共鳴が使える。ゆえに、電磁領域にも作用する術式であり、物質化の各工程に対応した異なるテクノロジーが用意されている。

とはいえ、本質は非常にシンプルで、意識とエネルギーを扱う。魔術も錬金術もまったく同じである。そして、私たちはこれから「素材と素材を扱うプログラム」を調べていく。

それを古代の錬金術師たちはこう呼んだ。第一質料と四大元素と。