第5章:現実を操作する、意識ハッカーという職業

Mana K が 2023年07月04日 に投稿
2024年12月24日 に更新
心の技術を駆使して事象操作を行う。その前に理解しておきたいのが技術における利害や影響だ。相反する課題や矛盾の統合においても、この情報は有益だ。

テクノロジーのメリット・ベネフィット

最近、私は動物界に積極的に参加している。特にここ数年は、鳥たちと関係を構築している。最新の試みは、カラスの意思伝達ネットワークに参加することだ。

これはもちろん、魔術や錬金術と深い関係がある。それは動物との通信プロトコルを確立し、その仕様を理解することで、サイキック能力を強化する目的も含まれる。もっというと、動物界の課題や主張を理解するためのシャーマン的な活動でもある。

それを「意識とエネルギーを扱うテクノロジー」として、包括的かつ技術的に検討するのが、私たち錬金術師だ。血統と遺伝推しのエリート主義ではなく、汎用化を目指すのがあなたや私だ。

霊媒と儀式が必須であるという、古代の哲学者たちを継承するのがエリート主義的な霊能者であるならば、私たちはそれを人類の必須課題ではなく「活性化のトリガー」という正しい場所に戻すような役割といえる。それはまるで、特定の慣習を普遍的なルールとして強要する文化を最適な場所に再配置し、テクノロジーと共に汎用化することで文明を構築する努力なのだ。

ちなみに、カラスの意思伝達ネットワークに参加するということは、カラスにとってはネットワークに干渉されているような氣分だ。情報のリレーに参加することで、ちょっとした混乱や挙動不審な動きを連発することからも判る。それはある種のハッキングだ。ゆえに、面白半分で彼らのシステム環境を混乱させることは避けたい。

このように、あらゆる意識の状態と形態に接続するということは、膨大な情報を扱うことを意味する。特に、感情というフィードバック・ループ(非線形の増幅)とその動きが生み出す渦のようなエネルギーだ。ゆえに、ギフテッド、HSP、ヴィーガンなどが感情移入してしまうと、動物の苦しみや悲しみも大量に取り込む結果になってしまう。それは、大衆がまったく氣づかない大量の情報、貴重なダークデータだ。ただ、抱えきれないほどの感情エネルギーに翻弄されてしまうリスクもある。

ここで有効なのがテクノロジーだ。それは、これまで検討してきたようにモノゴトをシステムとして分析し、最適な課題解決領域(ドメインとサブドメイン)を定義し、俯瞰した状態から優先的に取り組むべき文脈・背景(コンテキスト)を選出し、構成要素を理解し、改善案を設計(ロバストネス分析)することが可能だからだ。対して、大衆はいきなり詳細設計に突入し、唐突に謎の模倣アプリや定番のマーケティング施策を市場に展開する。

テクノロジー活用は、膨大な情報とエネルギーに漠然と翻弄されるのを避けることが目的だ。そのため、ドメイン、システム、コンテキストという論理境界(結界)を設け、焦点を自己統御する。分析麻痺はプロトタイプ検証とデザイン思考で回避する。このすべての工程を常識では信じられない速度で爆速実行できるのが、魔術師や錬金術師に向いている人たちなのである。ゆえに「優劣ではなく適正」だと理解してもらえたはずだ。

これらの要素を考慮すると、意識とエネルギーをテクノロジーとして扱うことの短期的なメリットが理解される。長期的な利益・公益は、文明構築という大事業、つまり「マグナム・オプス」である。スタートアップや新規事業が好きな人には生きがいとなるだろう。

短期的なメリットという文脈で整理した場合、サイキック能力の強化と自然の書に親しむという、スキルの獲得とハッカーマインドの醸成という、明確かつ客観的な目標・指標がある。それはまるでギフテッド、クリエイター、メカニック、両利き、HSP、ヴィーガンやベジタリアンなどにとって道路標識のような役割を果たす。

その片鱗が見えてきたならば正しい道を進んでいるということだ。これはある意味、大いなる作業であるマグナム・オプスの準備期間であり、投資フェーズでもある。そして同時に、その非線形的な目標や指標が「戦略の青写真」として機能する。魔術的に表現するならば、エーテルに投影・集積した青写真をアストラル戦略で増幅し、戦術的かつ分散型の行動で達成するシステムといえる。

もう少しギフテッドやクリエイターに響く表現をするならば、個人の生きづらさを解決するためのシステム的な働きかけが、同時に世界を変革する投資になるということだ。つまり、あなたや私にとっては「顧客は誰か、市場はどこか」という一般的な問いはあまり役に立たないことを意味する。論理境界の前提がズレているからだ。それを世界は「あなたが社会とズレている」と判断する。

これは個人的な見解だが、ギフテッドやHSPの存在理由と生きづらさの原因は、次のようなものだと思う。人類の進化を先取りしているがゆえの辛さだ。つまり、これから大衆がたどる道と課題を端的に表しているのだ。イノベーション曲線を思い出してほしい。

このことが理由で、以前「(大衆は)自身の環境適合で手一杯になってしまい、能動的かつ高度に分散化された自律型の組織として、大量の情報とエネルギーを瞬時に扱うことは極めて難しくなる」と書いた。それは、ギフテッドが特別だということではなく、時期と順番の問題なのだ。遅かれ早かれ、すべての人々がその課題を経験するのだと私は感じている。

ということは、地球温暖化のトレンドと同じで、人類進化というトレンドの「どの部分をサンプリングしているか」によって、捉え方が変わるだけの話だ。ゆえに、複数の課題解決領域を俯瞰するドメインモデリングが役立つ。それが自身の感情やマインドを制御するための魔術結界として機能する。つまり、ミクロコスモスとマクロコスモス両方に効き目のあるテクノロジーになるのだ。

生きづらさの理由は、それが進化の過程であるためだ。現状維持の文明は進化に対し、異物の排斥や「足を引っ張る」妨害術式で抵抗する。そこには無視や無理解といった、暴力的で攻撃的な側面も頻繁に現れる。それはまるで、古代ケムの人々がアトランティスの生き残りを脅威に感じて攻撃したような状況に似ている。歴史が振動相似・構造共振に繰り返している様相が理解されるはずだ。

ということは、生きづらさと機能不全を解消するために鈍化したり、思考や行動のスピードを落とすのではなく、もっと扱える領域を広げ、速度を活かし、ドンドン先へ進んでしまえば良いのだ。それが癒やしとなるはずであり、同時に惑星の進化になるはずだ。そして、制御可能なドメインモデルとテクノロジーのセットが強力なサポート役として機能する。それが魔術や錬金術だ。


テクノロジーのデメリット・マイナス面

とはいえ、意識やエネルギーをテクノロジーやシステムとして扱うことの否定側面も存在する。すでに二項対立という絶対音感的なフレームの上に文明を構築するリスクについて検討してきたことからも、それは明らかだ。つまり、固定観念に発展してしまうのだ。

もっと具体的に調べてみよう。それは「チャクラ・システム」や「マジックナンバー7」を固定のフレームとして森羅万象に適用する態度に現れている。それが否定側面の端的な例だ。つまり、何でも単一のモノサシで理解しようとする、視野の狭さと情報の歪曲につながっていく。

単一のメンタルモデル、単一のモノサシ、単一のアプローチ。それは人類が常に好んで積極的に採用している方法だ。ゆえに、不要な競争や罰則が増え続け、みんな息が詰まってしまう。そういう脆弱で柔軟性に欠けたシステム構造で私たちは縛られているのだ。これを「心の檻と幻想系」と私は名づけた。

例えると「単一のハンマーを持った人類には、すべてが釘に見えている」ということだ。これは、AIは万能であると誇大広告する企業や、生成AIに何でも任せられるという詐術で経営者を惑わす手口に強く現れている。私たちは自分で考え、検証しなければならない。

分光は固定ではない。現在、私たちが集合的に知覚し、フォーカスしている領域がその帯域というだけなのだ。同様のスペクトルで表現される、チャクラ・システムも同様だ。それは森羅万象を記述できるようなモノサシではないし、倍音や母音のように(基礎となる)全体を含んでいながらも部分でしかない。この考え方は四大元素と第五元素にも当てはまる。

よって、何でもチャクラで考えようとするのは問題だ。オーラですべてが理解できると考えるのも傲慢だ。同じく、私たち魔術師や錬金術師も、一度定めた論理結界を固定させることは避けなければならない。魔術結界を永久に固定してしまうこととイコールだからだ。

このことは数学的にも理解できるはずだ。バビロニアではゼロを含まない「60進法」をシステムとしていたわけだし、人類が認識する「9進法」をゼロを含まないシステムに変更し、文明基盤として運用することだって可能なはずだ。一般的に普及しているコンピューターはデジタルな「2進法」演算を行っている。スマホも同様だ。

フィールド・レコーディングの本を読むだけでなく、実際に山に出かけて自然のバイブスを録音してみることをオススメする。そこにはあらゆる帯域に多様な質感を持った音の世界が広がっているはずだ。それをリアルに聞くのと、モニターするのと、帰宅してからチェックするのではまったく異なる様相を呈しているはずなのだ。

なぜそのような違いが生まれるのだろうか。それは、環境が変わったからだけでなく、自分の意識やマインドの状態も変化しているからだし、デバイスを通すとフィルターされてしまう音もあるし、可聴領域外の情報を「質やバイブス」として人間装置(肉体)が感知しているからだ。

つまり、単一のメンタルモデルやモノサシでは理解できない課題解決領域(ドメイン)が複雑に絡み合って世界は構築されている。それは階層性ではなく、絡み合いとして知覚されるはずなのだ。それを分光や7つのチャクラだけで説明することは乱暴すぎるのではないだろうか。

同じことが量子にもいえる。量子力学・物理学はテクノロジーではなく学問・理論・科学ではあるが、そのモデルやモノサシですべてを説明しようとするスピリチュアル産業は、非常に不思議な世界だ。理論に変更が加えられたら、どんな事が起こるのか興味深い。

現実というホログラムは、私たち人類が顕在的に認識しているより、もっと複雑かつ大量の情報で構成されている。現代のテクノロジーで例えるならば、水晶ストレージの同一領域にあらゆる情報が書き込まれているようなイメージだ。しかも、階層性になっているのではなく、機織り機で立体的に織られた布のような多次元的な網の目として存在している。それを時空間として説明するのであれば、多元的なネットワークとノードとして知覚される。

では、テクノロジーの否定側面、固定観念をどのように克服すれば良いのだろうか?

それが、ギフテッドである。加えて、クリエイター、メカニック、HSPなどである。彼らはひとつのテーマをこれでもかというほどあらゆる観点から検討し、分析し、批判的思考で多角的に観察し、時に破壊し、まったく異なるモノゴトとの関連性を探し出し、成果に改良を加えて再構築するセンスを持っている。

これは、魔術や錬金術で行われる破壊と創造のプロセスとまったく同じだ!

この徹底した働きかけを古代の錬金術師たちは「乳鉢で物質を最小単位まですり潰す」という比喩を使って表現してきた。それこそ、現状維持の四大元素・第五元素を解体して、第一質料であるプリマ・マテリアを得るための作業なのだ。それが浄化の本質だ。

つまり、魔術や錬金術に適正を持った人々が、生きづらさを克服するためにテクノロジーが役立つし、適正を持った人々が「心の檻と幻想系」というフレームを超えて作業することで、否定側面を克服することができるのである。知覚できる理(フレーム、ルール)を超えて作業するのが、魔術師や錬金術師の仕事なのだから当然だ。


扉が開く!相反するモノゴトを統合する

こうして、意識とエネルギーをテクノロジーとして扱えるように環境を整えていくと、面白いことが起きてくる。それは「今まで相反すると思われていたモノゴトが相反しなくなる」という現象だ。新しい世界へのポータルにアクセスすることが可能になるのだ。

これは、魔術や錬金術でよく描かれる「太陽と月の結合」や「王と妃の結婚」として表される、二項対立の解消だ。それは、端的にいえば陰陽両儀であり、電磁場であり、物質と精神の境界が消滅するという体験になる。なぜ、相反していたモノゴトが相反しなくなるのかというと、これがすでに述べた「すべてのモノゴトは完全に分割できない」ということにつながっていく。

意識は分割できない。解体して浄化され、原初の状態に戻されたエネルギーも分割できない。そして、意識もエネルギーも二項対立の条件づけは「もともとされていない」からなのだ。二項対立というのは、いうなれば四大元素による人為的な条件づけであり、宇宙や自然環境と私たちが相互作用できるように考え出された叡智なのだ。

ゆえに「対立しているように知覚されるが、実は対立などしていない」という真実の扉が開くのである。このワンネス思想はスピリチュアル産業ではテンプレなのだが、実際の言動を観察していると、本当に理解している人々はほとんど存在しないことが判るはずだ。

本当にそれを理解しているのであれば、二極化マーケティングはしないからだ。さらに、光と闇の勢力という条件づけで対立構造に強いコントラストをつけることもしないだろう。高次元存在とアセンション信仰に代表される「ランキング」を定義する氣すら起きないはずだからだ。

そういう「古い固定された単一のモノサシ」を外した先にあるのは、清濁併せ呑んだ光などではない。意識とエネルギーなのだ。いいかえると「一者と第一質料」なのである。それ以外のすべては、条件づけされたプログラムとホログラムである。

本当のシステム境界は存在せず、明確なコントラストも存在しない。個人的には創造・維持・破壊のサイクルでさえ、トレンドやサンプリングに過ぎないと感じている。サンプリングも条件づけだ。光という認識もプログラムされた結果だ。すべては柔軟かつ無限で、あらゆるモノゴトが創造できる高度なテクノロジーによって構築され、複雑なホログラムのように知覚されるはずだ。

本質的な意味において、目覚めと眠りの二極化などはありえない。それは誰かが「ここまでが眠り、ここからが目覚め」という基準(ビジネスルール)を設定したからそうなっているだけなのだ。ゆえに、そのルールに同意できない場合、別にそのビジネスに関わらなければ問題ない。

これで、アセンションや波動上げにまつわる余計な心配や不安は払拭されたはずだ。

このように、魔術師や錬金術師は徹底的に世界という「自然の書」を読み倒し、解体し、再構築する職業なのである。ゆえに、ギフテッド・クリエイター・メカニックな人々に向いている。そして、何らかの方法で「両利き」になった人々には、この対立解消とそれによってもたらされる世界の広がりは、体験から理解されるはずなのだ。

一方、魔術や錬金術に向かない人々には、この「徹底的で広範囲な検討、信じられないほどの速度、情報や理論の膨大な量、戦術的な変更の多さ」が嫌になって途中で諦めてしまうはずだ。これは、アプリ開発を手続き型のフローチャートとして扱うか、手続き型も活用しつつ、オブジェクト指向で直線時空を超えて作業できるかの違いなので、職業上の適性として認識されることになる。

魔術師や錬金術師が現代のスピリチュアル産業を理解しようとする時、どのようなアプローチを採るか、ここでサンプルを挙げておきたい。それは「すべての情報は何かしらの真実を含んでいるので、すべてをパズルのピースとして網羅・解体・構築してみる」という設計工程になる。

その過程では、徹底的にスピリチュアル産業に没入する段階もある。そうしないと、余計なバイアスが邪魔になってモノゴトをそのまま受け取ることができなくなるからだ。外側から見たら、メソッドやセミナーを渡り歩く人々と何も変わらないように見えるはずだ。

その後、分析や統合の段階がある。そこで漠然としたよくわからないモノゴトを徹底的に検討し、分類し、フレームワークを構築し、ある種のシステム理論をつくりあげる。そして、その理論が現実世界で再現可能か、あらゆる状況で徹底検証されるのだ。この狂氣にも似たこだわりと一貫性が、世界が私たちを異常者として排斥する原因なのだと思う。

なぜ徹底的な働きかけが有効かというと、それは作戦術とレバレッジに関係がある。レバレッジというのは「テコの原理」であり、少ないエネルギーで多くを成し遂げることを指す。それはシステム思考でも頻繁に言及される分析手法だ。レバレッジの特定は、錬金術でいう「賢者の石の錬成」によく似ている。それは強みにも弱みにもなる。

人類や惑星の進化という文脈で分析するならば、そのレバレッジは破壊的イノベーションとして顕現する可能性もあるからだ。さらにいうと、敵対勢力を弱体化させるレバレッジの特定は、非常に強力な戦術として展開可能だ。誤った選択をすると、現代のAIやITのように「逆レバレッジ」として人々を振り回し、不要なコストを強いる問題へと発展する。

それを「意識とエネルギーを扱うテクノロジー」として、包括的かつ技術的に検討するのが、私たち錬金術師だ。そして開発されたテクノロジーは、後に文明という形になって人類に貢献することになる。つまり、新しい文明を構築するというスタートアップは「サービスとしての文明」という表現が私にはシックリ来る。

最後に補足。錬金術書を読んでいると、二項対立の解消を表すシンボルが必ず「二重、三重」に定義されていることに氣づくと思う。例えば、太陽と月の上に乗った王と妃という具合だ。これは何を意味するのかというと、個人的には「ロジックと中身」だと捉えている。

四大元素というプログラムとそれを通過するエネルギーの性質である。いいかえると、アプリとデータの関係だ。このことが理由で、モノゴトをオブジェクト指向で捉えることが自然の書を読む鍵になる。そしてその大宇宙的な文明システムは、太陽系の惑星たちと電磁的に相互作用している。それが、劣化して伝わってきたのが占星術や占いである。